コーポレートガバナンスとは?企業統治の基本とメリットを徹底解説

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昨今は企業の不祥事に関するニュースが後を絶たない中、「コーポレートガバナンス」という言葉を耳にする機会が増えました。これは、企業を健全に経営するための仕組みであり、投資家や社会からの信頼を得る上で不可欠な要素です。

本記事では、コーポレートガバナンスの基本的な概念から、構成する要素、強化するメリットまで、わかりやすく解説します。

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目次

コーポレートガバナンスとは?基本概念を理解する

コーポレートガバナンスとは、日本語で「企業統治」と訳されます。これは、企業が健全な経営を維持するために、経営陣の暴走や不正を防ぎ、すべてのステークホルダーの利益を守るための仕組みです。具体的には、企業の意思決定プロセスを透明化し、経営の公平性・効率性を高めることを目指します。

そもそもコーポレートガバナンスとは?

コーポレートガバナンスの根底にあるのは、企業の所有者である株主の利益を最大化するという考え方です。本来、株主が選んだ経営者が、株主の代わりに企業を運営します。しかし、経営者が自身の利益を優先して、株主や他のステークホルダーの利益を損なうリスクがあります。コーポレートガバナンスは、このリスクを抑制し、経営の透明性と公正性を確保するための仕組みです。

なぜいま、コーポレートガバナンスが重要視されるのか?

現代において、コーポレートガバナンスがますます重要になっているのは、以下のような背景があるためです。

相次ぐ企業の不祥事: 過去に多くの大企業で、データ偽装や粉飾決算などの不祥事が発覚しました。これにより、経営陣の監視・監督の必要性が強く認識されるようになりました。

グローバル化と競争の激化: 国境を越えた事業展開や投資が一般的になり、企業は海外の投資家や市場からも評価されるようになりました。国際的な信頼を得るためには、透明性の高い経営体制が不可欠です。

投資家の意識変化: 近年、ESG投資(環境・社会・ガバナンスを考慮した投資)が広まっています。投資家は、財務情報だけでなく、その企業のガバナンス体制も投資判断の重要な基準とするようになりました。

コーポレートガバナンスを支える主要な体制

コーポレートガバナンスを機能させるためには、その体制を整えることが不可欠です。ここでは、企業の健全な経営を支える主要な体制をご紹介します。

経営を監督する「取締役会」

コーポレートガバナンスの中核をなすのが、経営陣を監視・監督する仕組みです。

取締役会は、企業の経営方針や重要事項を決定し、業務執行を監督する最高機関です。経営陣の暴走を防ぎ、株主をはじめとするステークホルダーの利益を守るための重要な役割を果たします。

社外取締役の役割と重要性

社外取締役は、会社と直接的な利害関係を持たない独立した立場の取締役です。客観的な視点から経営陣の意思決定をチェックし、不正や暴走を抑える役割を担います。これにより、経営の透明性が高まり、株主からの信頼獲得につながります。

取締役会設置会社の3つの形態

日本の会社法では、取締役会を設置する会社には主に以下の3つの形態があります。

監査役会設置会社: 監査役会が取締役の職務執行を監査します。
指名委員会等設置会社: 経営の意思決定と執行を分離し、指名、監査、報酬の3つの委員会を設置します。
監査等委員会設置会社: 取締役の中から監査委員を選定し、監査の職務を行います。

コーポレートガバナンスの主な活動

コーポレートガバナンスは、形式的な体制を整えるだけでなく、企業が日々行う具体的な活動によって実践されます。ここでは、その主な活動を解説します。

経営を監督する活動

経営を監督することは、コーポレートガバナンスの中核を担う重要な活動です。取締役会の活性化はその典型的な例です。取締役会に多様な専門知識やバックグラウンドを持つ人材(女性、外国人など)を登用することで、さまざまな視点から経営を監督し、より質の高い意思決定を可能にします。また、取締役会は会社の経営方針や重要事項について活発な議論を行い、経営陣の独断を防ぎます。

内部統制

企業の健全性を保つには、日常的な業務の中に不正を防ぐ仕組みを組み込むことが不可欠です。これが内部統制です。

内部統制は、経費精算の二重チェックや、職務分掌(担当者を分けること)による牽制など、特定の部署や個人に権限が集中しないようにすることで、不正が起こりにくい環境を作ります。これは、年1回の監査だけでなく、事業部や各担当者が日々行う業務の中での地道な活動が重要です。

監査

監査は、内部統制が適切に機能しているかを第三者の視点から確認する活動です。これにより、不正や問題点を客観的に評価し、経営の健全性を保ちます。監査には、主に内部監査と会計監査の2種類があり、それぞれ異なる目的と役割を担っています。

内部監査

内部監査は、企業内の独立した専門部署が行う監査です。業務プロセスが適切に機能しているか、そして内部統制が有効に機能しているかなどを定期的にチェックし、その結果を経営陣に報告します。この活動は、不正の早期発見や業務改善を促し、企業が自ら問題を解決する自浄作用を高める役割を担います。例えば、内部監査部門は、経費精算の不正や情報管理体制の不備がないかなどを調査し、改善策を提案します。

会計監査

会計監査は、企業とは利害関係のない外部の公認会計士や監査法人が行う、いわば「お墨付き」を得るための監査です。企業の財務諸表が法律や会計基準に沿って適正に作成されているかを厳正にチェックし、その結果を監査報告書として株主や投資家に報告します。これにより、財務報告の信頼性が確保され、市場からの信用を高めることができます。投資家は、この監査報告書を参考に、その企業に安心して投資できるかどうかを判断します。

リスクマネジメント

リスクマネジメントは、企業が直面する可能性のあるリスクを事前に特定し、それらを回避・軽減するための活動です。情報漏えい、自然災害、法令違反といったさまざまなリスクに対し、具体的な対策を立て、万一問題が発生した場合でも迅速に対応できる体制を構築します。

情報の透明性向上

投資家や社会からの信頼を得るには、積極的な情報開示が不可欠です。これをディスクロージャーと呼びます。経営状況や財務情報だけでなく、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)に関する非財務情報も積極的に公開することで、企業の透明性を高めます。また、IR(Investor Relations)活動を通じて、投資家やアナリストとの対話を増やし、企業の経営方針や将来性を丁寧に説明することも重要な活動です。

ステークホルダーとの対話

コーポレートガバナンスは、株主だけでなく、顧客、従業員、地域社会といったさまざまなステークホルダーとの関係を強化する活動でもあります。具体的には、株主総会の運営改善を通じて株主が意見を述べやすい環境を整えたり、内部通報制度を整備して不正や問題点に気づいた従業員が安心して声を上げられる仕組みを作ることが含まれます。これらの活動を通じて、企業は社会全体からの信頼を獲得していきます。

コーポレートガバナンス強化がもたらすメリット

コーポレートガバナンスを強化することは、企業にさまざまなメリットをもたらします。不正を防ぐだけでなく、企業そのものを強くし、成長を促す効果が期待できます。

企業価値の向上と投資家からの信頼獲得

健全なガバナンス体制を持つ企業は、不祥事のリスクが低く、透明性が高いと評価されます。これにより、国内外の投資家から高い信頼を得ることができ、企業価値の向上につながります。ガバナンスへの取り組みは、長期的な成長を見据える投資家にとって重要な判断基準となっています。

危機管理体制(リスクマネジメント)の強化

ガバナンス強化は、不正やトラブルを未然に防ぐ仕組みづくりに直結します。これにより、企業のブランドイメージや信用が大きく損なわれる事態を防ぐことができます。

組織の活性化と競争力向上

透明性が高く、公正な組織では、従業員が安心して働くことができます。また、明確な意思決定プロセスや評価制度は、従業員のモチベーション向上にもつながります。その結果、組織全体が活性化し、企業の競争力が高まります。

コーポレートガバナンス強化の課題と実践ポイント

コーポレートガバナンスの強化は重要ですが、多くの企業が直面する課題も存在します。これらの課題を認識し、効果的な対策を講じることが成功の鍵です。

企業が直面する主な課題

コーポレートガバナンスを強化しようとする企業は、さまざまな課題に直面します。これらを克服するためには、まず現状の課題を正しく理解することが重要です。

コーポレートガバナンスの「形骸化」

形式的にルールを導入しただけで、実質的な機能が伴わない「形骸化」が大きな課題です。例えば、社外取締役を設置しても、経営陣の意向ばかりが反映され、その意見が経営に活かされないケースなどが挙げられます。この状態では、ガバナンスは表面的にしか機能せず、本来の目的である経営の透明性や健全性は確保されません。

情報開示の難しさ

投資家や社会からの信頼を得るためには、積極的な情報開示が不可欠です。しかし、開示する情報の範囲や粒度、方法について、多くの企業が課題を抱えています。特に、非財務情報の開示は、どの情報を、どの程度まで開示すれば良いかの判断が難しく、開示する情報が不十分になることがあります。

課題を乗り越えるための実践ポイント

企業が直面する課題を克服し、実効性のあるコーポレートガバナンスを確立するためには、以下のポイントが重要です。

多様な取締役会の設置

取締役会に多様なバックグラウンドを持つ人材(女性、外国人など)を登用することで、さまざまな視点から経営を監督し、より質の高い意思決定が可能になります。同質性の高いメンバーで構成された取締役会では、意見が偏りがちですが、多様な人材が加わることで、活発な議論が生まれ、形骸化を防ぐことができます。

積極的なIR活動の推進

IR(Investor Relations)活動とは、投資家向けに経営状況や戦略などを積極的に情報発信する活動です。決算説明会やウェブサイトを通じて、透明性の高い情報開示を行うことが重要です。これにより、投資家は企業の価値を正しく評価でき、企業は市場からの信頼を獲得できます。

グループ会社におけるコーポレートガバナンスの重要性

現代では、多くの企業が複数の子会社を持つグループ経営を行っています。この場合、親会社だけでなく、グループ全体でガバナンスを強化することが不可欠です。

なぜグループ全体での統治が必要なのか

グループ全体での統治は、グループの安定的な成長と企業価値の向上に不可欠です。一つの会社だけでなく、グループ全体でガバナンスを機能させることで、さまざまなリスクを防ぎ、事業機会を拡大できます。

リスク連鎖

グループ内のどこか一つの会社で不祥事が起きると、その影響はグループ全体に広がり、親会社の信用失墜や企業価値の低下につながります。これをリスク連鎖と呼びます。例えば、子会社のデータ改ざんが発覚すれば、親会社も世間からの信頼を失い、株価が下落する可能性があります。

グループシナジーの創出

グループ全体で情報共有や意思決定の仕組みを整備することで、業務の効率化や新たな事業機会の創出など、グループとしてのシナジーを高めることができます。各社がバラバラに動くのではなく、共通の目標に向かって協力し合う体制を構築することが重要です。

グループ統治の主な課題

グループ全体でのガバナンス強化は重要ですが、親会社と子会社の間には特有の課題も存在します。これらの課題を克服することで、より効果的な統治が可能になります。

親会社と子会社のバランス

親会社が統制を強めすぎると、子会社の自律性が失われ、現場の判断力が低下する可能性があります。一方で、統制が不十分だと、リスク連鎖を防ぐことができません。子会社の独立性を尊重しつつ、グループとしての統一したルールや方針を適用するなど、適切なバランスが重要です。

グループ会社間の情報共有の壁

事業内容や文化が異なる子会社間では、円滑なコミュニケーションが難しく、情報共有の壁が生じることがあります。情報共有が滞ると、リスクの兆候の見逃しや、グループ全体のシナジーを活かせなくなります。ガバナンス強化のためには、この壁を乗り越えるための仕組みが不可欠です。

ITツールの活用によるガバナンス強化

グループ会社のガバナンスを効果的に統制するためには、ITツールの活用が不可欠です。ガバナンスに関するアンケートの収集や関係資料の集約、進捗管理などを手作業で行うには限界があります。

こうした課題を解決するのが、コミュニケーションツールや専用の管理ツールです。これらのツールを導入することで、グループ会社間の情報共有がスムーズになり、ガバナンス統制のプロセス全体が効率化されます。

例えば、コミュニケーションツールを利用すれば、ガバナンス統制のためのアンケートを簡単に作成・配信し、回答をリアルタイムで集約できます。また、関連する資料をクラウド上で一元管理することで、親会社と子会社が常に最新の情報を共有できるようになります。これにより、ガバナンス強化に向けた取り組みが円滑に進み、より実効性の高い企業統治を実現できます。

まとめ

本記事では、コーポレートガバナンスの基本概念から、それを支える体制、具体的な活動、そして強化するメリットについて解説しました。

コーポレートガバナンスは、経営陣を監視・監督する体制と、不正を未然に防ぐための内部統制や監査などの活動から成り立っています。これらを適切に機能させることで、企業価値の向上や、投資家からの信頼獲得、そして組織全体の活性化につながります。グループ経営においては、親会社だけでなく、グループ全体でガバナンスを強化することが重要です。そのためには、親会社と子会社の適切なバランスを保ち、グループ全体で情報共有の壁を乗り越える必要があります。

コーポレートガバナンスは、法令遵守に留まらず、企業が社会からの信頼を得て、持続的に成長するための不可欠な基盤です。形骸化を防ぎ、実効性のあるガバナンスを確立するためには、多様な人材の登用や積極的な情報開示に加え、コミュニケーションツールの活用が有効な手段となります。特に、「Communing」のようなツールは、情報共有の円滑化に貢献し、ガバナンスのプロセスを強化します。

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執筆者情報:

ユニリタCommuRingチーム

株式会社ユニリタ DXイノベーション部

取引コミュニケーションツール「CommuRing」のプロモーション担当チームです。
コミュニケーション情報を蓄積・共有・活用するシステムに長年携わってきたメンバーが、取引先・多拠点の管理に課題を持つ方に、役立つ情報をわかりやすく発信することを心がけています。

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