サプライヤーとベンダーの違いとは?意味・使い分け・具体例をわかりやすく解説
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ooshima
製造現場では、日々多くの工程を積み重ねながら製品づくりが行われています。しかし、忙しさや慣れ、納期へのプレッシャーなどを背景に、本来実施すべき工程が省略されてしまう「工程飛ばし」が起こることがあります。
工程飛ばしは一見すると小さな省略に見えるかもしれませんが、品質不良や顧客クレームなど、重大なトラブルにつながるリスクをはらんでいます。
本記事では、工程飛ばしとは何かを整理したうえで、問題視される理由や発生原因、放置するリスクを解説します。さらに、工程飛ばしを防ぐための基本対策や再発防止の考え方、ITツールを活用した対策についても紹介します。
工程飛ばしとは、製品や製造作業の品質・安全を確保するために定められた工程の一部を、正規の手続きや合意なしに省略することを指します。工程には、加工や組立のような作業だけでなく、検査・測定・記録・承認・清掃・点検などの付随工程も含まれます。「多少であれば作業工程を省略しても問題ないのではないか」「今回だけは特別に、この程度の作業は省いても大丈夫だろう」といった軽い判断で起こりやすい一方、工程が抜け落ちることで不良の混入や事故発生のリスクが一気に高まります。
工程飛ばしは「現場の効率化」のように見えて、実際には品質・安全・信頼を損なう大きな要因になります。工程飛ばしが常態化すると、現場は「問題が起きない限り省略してよい」という空気に傾き、改善が難しくなります。
工程飛ばしが発生する理由を「現場の意識が低いから」と片付けると、ほぼ確実に再発します。多くの場合、複数の原因が重なっています。ここでは代表的な原因を整理します。
ベテランほど「この工程は意味が薄い」「不良が出たことがない」と感じることがあります。また、ラインの遅れを取り戻す目的で、良かれと思って省略してしまうこともあります。
このタイプの工程飛ばしは、当人に悪意がない一方で、周囲が止めにくいのが特徴です。「あの人がやっているなら大丈夫」という空気が生まれると、横展開してしまいます。
現場で最も多い原因がこれです。人が足りない・納期が厳しい・設備トラブルが続くなどの問題が常態化している状況では、工程の短縮が誘惑になります。
ただし短縮した分は、後で手直しやクレーム対応として返ってくることが多く、長期的には負担が増えます。だからこそ、個人を責めるのではなく、工程飛ばしが起きにくい設計(運用)が必要です。
交代勤務や応援要員の増加、新人の投入などがあると、引き継ぎ不足から工程が抜けやすくなります。「どこまで終わったか」「どこが要注意か」が不明確だと、確認工程や記録工程が抜け落ちます。
引き継ぎの課題は、人の問題に見えて、実は“情報の置き場・共有方法”の問題であることが多いです。
チェックする人がいない、チェックが形式だけ、チェックしても記録が残らないなど、こうした状態では、工程飛ばしは発見されません。発見されないものは改善されないため、工程飛ばしが常態化しやすくなります。
チェック体制は「誰が」「いつ」「何を」「どうやって」確認するかを、工程に組み込む必要があります。
工程飛ばしを見逃すと、短期的には、現場が健全に回っているように見えても、中長期で大きな損失になります。ここでは代表的なリスクを整理します。
工程飛ばしによる不良は、後工程で発見されやすく、手直し範囲が広がりがちです。さらに、後工程に流れた不良は、工程内で混在してしまうため、選別や再検査が必要になり、コストが膨らみます。
「工程を飛ばして浮いた数分」より、「手直しで失う数時間〜数日」のほうが圧倒的に大きい、というのは現場でよくある話です。
工程記録が残っていないと、問題発生時に原因を特定できません。次のような作業工程の記録が追えない状態は、再発防止の設計ができない状態です。
トレーサビリティが弱いと、顧客への説明も難しくなり、信頼への影響が大きくなります。
工程飛ばしは単発で終わることもありますが、怖いのはその積み重ねです。点検の省略が続く・確認が甘くなる・記録が適当になることが常態化した末に安全・品質の防波堤が薄くなったとき、重大事故が起きやすくなります。
工程飛ばしが黙認されると、「ルールは守らなくていい」「バレなければいい」という文化に傾きます。この状態になると、是正が難しくなり、真面目に守る人ほど損をする構造が生まれます。結果として、品質意識が全体で低下していきます。
工程飛ばしを防ぐには、精神論だけではなく、現場が作業手順を守れる形に仕組みを整えることが大切です。ここでは取り組みやすく効果の出やすい基本対策を紹介します。
まずは、作業手順書が現場の実態に合っているかを点検することが重要です。守られていない手順がある場合、単に「守れ」と指示するのではなく、なぜ守られていないのか、その背景を確認する必要があります。工程飛ばしの多くは、手順の過剰さや現場とのズレが原因となっているためです。
手順書を見直す際には、次のようなポイントを意識すると効果的です。
チェックリストはシンプルですが効果的です。工程の抜け漏れを防ぐだけでなく、作業者自身が「どこが重要か」を意識できるためです。ただし、項目が多すぎると形骸化します。絶対に飛ばしてはいけない工程を中心に、チェックが現場で回る設計にするのがコツです。
工程飛ばしは「見えない」から起きます。そこで、工程ごとの完了状態を見えるようにします。
こうした可視化は、工程飛ばしをやりにくくする強い効果があります。
教育は「守れ」ではなく、「なぜこの工程が必要か」を共有することが重要です。工程飛ばしが起きやすい背景には、裏を返せば「意味が伝わっていない」「負担に見合う価値が理解されていない」可能性があります。
特に、品質・安全に直結する工程は、事例(不良や事故の発生例)を交えて伝えると浸透しやすくなります。
工程飛ばしは、発覚したら終わりではなく、再発防止までセットで取り組む必要があります。ポイントは「個人の注意」ではなく、「工程として再発しにくい仕組み」を作ることです。
工程飛ばしが起きた場合は、次の流れで整理すると再発防止につながります。
ここで重要なのは、再発防止=工程設計の改善という視点です。工程飛ばしは、「工程飛ばしをした人」ではなく、「工程飛ばしを発生させた仕組み」に目を向けるほうが、再発が減ります。
紙や口頭による管理が中心の場合、日常業務を回すことはできても、工程の状況を正確に把握し続けるのは難しくなります。その結果、現場では次のような課題が生じやすくなります。
このような状態では、工程の抜け漏れや確認不足が見えにくくなり、工程飛ばしが起こりやすくなります。ツールを活用することで、工程の進捗や確認状況、対応履歴を一元的に管理でき、工程飛ばしの温床となりやすい「曖昧さ」を減らすことが可能です。特に複数ラインや複数拠点を持つ現場では、ツール導入による効果がより大きくなります。
工程飛ばし対策は、カイゼンと相性が良いテーマです。工程飛ばしが起きやすい工程は、現場の負担が高い、ムダがある、確認がしにくいなど、改善余地があることが多いからです。
「工程を増やす」のではなく、工程の価値を保ちながら、守りやすい形にする。この視点で改善活動と連動させると、現場に定着しやすくなります。
工程飛ばしの背景には、情報共有の不足や、工程の状況が見えないこと、記録が残らないことが関係しているケースが多くあります。そこで有効なのが、現場のコミュニケーションと工程の見える化を支えるツール活用です。
「CommuRing(コミュリング)」は、現場のやりとりや確認事項・周知内容を整理し、必要な情報が必要な人に届く状態を作ることで、工程飛ばしの発生を抑止できます。
例えば、次のような運用が可能です。
ポイントは、ツール導入そのものではなく、「工程が飛ばされにくい運用」に落とし込むことです。現場が無理なく回る形で定着できると、工程飛ばしは減らしやすくなります。
工程飛ばしは、忙しさや慣れ、納期へのプレッシャーなどをきっかけに、どの現場でも起こり得る問題です。しかし、工程が抜け落ちることで品質不良や安全事故、顧客クレームにつながり、手直しコストや信頼低下などの大きな損失を招く可能性があります。
工程飛ばしを減らすには、手順書やチェック体制、状況の可視化、教育といった基本対策を整えたうえで、再発防止の仕組みとして定着させることが重要です。紙や口頭に頼った管理に限界を感じる場合は、ツールも活用しながら、工程の状況を見える化し、情報共有と記録を強化していきましょう。
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