デジタルの力でリスク管理を高度化する「Chainable」の
リスクコミュニケーション基盤を担う「CommuRing」。
柔軟な連携で短期間でのサービスリリースに貢献
東京海上ディーアール株式会社様
東京海上グループのグループ企業である東京海上ディーアール株式会社では、データやデジタル技術を活用したリスクの可視化や早期検知、事故予防に向けた行動変容等を促すリスクソリューションを提供しています。
同社では、自社や取引先を含めたサプライチェーン全体のリスク管理を高度化するクラウドサービス「Chainable(チェイナブル)」の開発にあたって、サービスのコミュニケーション基盤として、ユニリタが提供する「CommuRing(コミュリング)」を採用しました。
課題
- 「Chainable」の開発にあたり、クラウド利用での高いセキュリティレベルを満たし、企業同士をつなぐ双方向のコミュニケーション環境の整備が急務
- 求められる機能を補うソリューションの提供だけでなく、サービスモデル実現に向けて、ともにサービス開発、事業推進を担えるパートナーとなってくれる企業であるかを重要視
解決策
- 企業間のコミュニケーションに対応可能な「CommuRing」を検討。企業同士を柔軟かつセキュアに連携させるための詳細な権限設定を新たに実装し、高いセキュリティレベルを実現
- ユニリタと協議を進めるなかで、ソリューションの機能性の高さだけでなく、上記の実装対応などの柔軟性の高さと事業推進を共創できる企業としても評価、「Chainable」のコミュニケーション機能の基盤として「CommuRing」を採用
導入メリット
必要な機能をマイクロサービスとして部分活用できる「CommuRing」を「Chainable」のコミュニケーション基盤とすることで、パートナー選定からおよそ8カ月後に「Chainable」リリースに成功。サービスローンチのリードタイム短縮に貢献。内製した場合と比較して試算したコストを削減。
目次
1.導入の経緯:自社・サプライチェーンのリスク管理における課題を双方向で解決するため「コミュニケーション機能」が必要に
2.選定のポイント:必要な機能を疎結合、柔軟性の高いマイクロサービスが活用できる「CommuRing」に注目
3.導入効果:1年で事業化を実現、顧客への価値提供基盤として高く評価
4.今後の展望:改善要望に応じた機能拡張と、サプライチェーンを含めたプラットフォームの利用拡大を推進
導入の経緯
自社・サプライチェーンのリスク管理における課題を双方向で解決するため「コミュニケーション機能」が必要に
東京海上ディーアール株式会社
企業財産本部
データビジネス創発ユニット
ユニットリーダー
工藤 智宏氏
東京海上ディーアール株式会社は、東京海上日動火災保険株式会社を始めとする東京海上グループの企業として1996年に設立(設立時は「東京海上日動リスクコンサルティング株式会社」、2021年に「東京海上ディーアール株式会社」に社名変更)、企業を取り巻くさまざまなリスクに対し、各種コンサルティング事業を展開しており、一世紀以上に及ぶ東京海上のノウハウをもとに、リスクソリューションパートナーとして多くの顧客にコンサルティングサービスを提供しています。
「Chainable」は、自社・サプライチェーンのリスク管理を効率的に推進しながら、コミュニケーション機能を活用して早期に有事への対応、課題解決につなげるプラットフォームです。
「Chainable」の開発にあたって、世界の災害情報をはじめとしたリスク情報の提供だけでなく、自社・サプライチェーンにおける事業継続に必要な双方向でのリスクコミュニケーションの環境整備が必要だったと企業財産本部 データビジネス創発ユニット ユニットリーダー 工藤 智宏氏は説明します。
「サプライチェーンのリスクという観点では、大企業だけでなく中堅中小企業も含めた取引先全体をリスク管理の対象として巻き込んでいくことが求められます。さらに、平時からサプライチェーン全体で活用できるような基盤づくりが有事の際の情報収集が重要になってきます。そのため、企業同士が円滑にやり取りできる双方向のコミュニケーションの機能が必要だったのです」。また、コミュニケーション機能が求められたのは、原因に対してしっかりアプローチできる環境が必要だったことも理由の1つに挙げられます。
「どこで問題が発生しているのかを早期に発見するために可視化の機能が必要ですが、さらに誰がどう対応していくのかを相互にやり取りしながらアプローチしていくためには、どうしてもコミュニケーション機能が必要だったのです」と同ユニット 上級主任研究員 佐竹 祐哉氏は説明します。
東京海上ディーアール株式会社
企業財産本部
データビジネス創発ユニット
上級主任研究員
佐竹 祐哉氏
選定のポイント
必要な機能を疎結合、柔軟性の高いマイクロサービスが活用できる
「CommuRing」に注目
「Chainable」のサービス基盤を構築する際には、キーワードとして疎結合が念頭にありました。
「われわれはリスクに関する情報を集約、提供することに強みをもっています。他に求められる機能があれば自ら開発するのではなく、連携していこうという発想が根底にあり、『Chainable』に必要なコミュニケーション機能を持ったソリューションを検討するに至りました」と工藤氏は話します。
35を超える数多くのコミュニケーション基盤となる連携サービスを候補に挙げたうえで注目したのが、ユニリタが提供する「CommuRing」でした。
「自社が中心となって相手を招待するようなコミュニケーション基盤が多いなか、企業同士をつないでいくことが可能だったのが『CommuRing』でした。当社とお客様はもちろん、お客様同士や拠点同士でやり取りできるコミュニケーションを重視していたわれわれにとって、『CommuRing』は理想的だったのです」と佐竹氏は評価します。
また、多くの機能をもつ「CommuRing」では、必要な機能がマイクロサービスとして部分活用できるため、短期間でサービスインすることを目指していた同社にとっても柔軟性の高い仕組みだと判断されていました。
さらに大きなポイントとしては、同社が期待するサービスモデル実現に向けて、柔軟に改変しながら一緒にサービス開発していけるかどうか、パートナーとして事業推進をともに並走してくれるかどうかが重要でした。「大手のチャット系サービスなどはサービス自体の改変は難しいというところも多い中、ユニリタは、『CommuRing』をわれわれの求める環境に柔軟に連携いただけるだけでなく、商談を通じてわれわれとともにビジネスを一緒に進めていただけることがわかったのです」と工藤氏は語ります。
他にも、サプライチェーン全体で平時から活用していくためには、スマートフォン対応などUXの観点も重視しました。「『Chainable』を起案した当初にわれわれがイメージしていたモバイル画面の要件、イメージと、『CommuRing』のUIは近しいものだったため、UXの観点で利便性にも期待が持てました」と工藤氏は評価します。
保険会社のグループ企業である同社だけに、クラウド利用に関しても高いセキュリティレベルが求められましたが、企業間同士を柔軟かつセキュアに連携させるための詳細な権限設定の新たな実装について、ユニリタと協議を進めるなかで実現することができました。こうしたソリューションとしての機能性、柔軟性の高さと、事業推進を協奏できる企業としての評価を踏まえ、最も総合力の高いサービスとして、「Chainable」のコミュニケーション機能をユニリタの「CommuRing」が提供することになったのです。
導入効果
1年で事業化を実現、顧客への価値提供基盤として高く評価
「Chainable」では、同社が開発したTdRクラウド上に契約企業の組織構造や拠点情報、商品別の取引先情報などの登録が可能で、Map/Chain/Listという3つのView画面を備えたSC Viewer機能と、気象庁など災害情報を扱う各種外部サービスとのAPI連携機能を提供しています。登録した取引先へ地震や気象災害といった被災可能性がある場合にプッシュ通知を行い、スマートフォンアプリなどで安否確認や災害情報の情報共有が可能な防災・減災の基盤としてサービスをリリースしました。システム上から取引先を招待し、チャットやタスク管理、スケジュール、お知らせなど各種コミュニケーションを図ることが可能になっています。これらの情報を受け取るポータル画面やコミュニケーション機能を支えているのが「CommuRing」です。
「Chainable」サービス画面
事前に登録された拠点のなかで被災が考えられる企業にのみ情報を配信するだけでなく、「CommuRing」側からTdRクラウドに問い合わせるなど、クラウド上の2つの環境が柔軟に連携しています。なお、パートナー選定からおよそ8カ月後には「Chainable」リリースに成功しており、2023年初頭にサービスインしてから段階的に機能拡張を続け、すでに複数の顧客で全国1万拠点を超える数が登録されている状況にあります。「週次でミーティングを重ねながら円滑にプロジェクトを進めることができました。新たなAPI開発も行ってもらうなど、伴走いただきながら開発できたことが無事にリリースできたことにつながっています」と工藤氏は話します。「わずか1年で事業化し、ユーザへ展開できるサービスが構築できたことは大きな成果です」と佐竹氏も評価しています。
有事の際に活用してもらうためには、平時においていかに日常的に使ってもらうかが重要であり、実際に全国数百店舗を展開する顧客では、従来FAXや電話で行っていた店舗における事故報告を「Chainable」のコミュニケーション機能を利用しながら、リスク対策を進めるなど、顧客それぞれに模索しながらコミュニケーション機能を有効活用していると説明します。他にも、海外現法を持つグローバル企業では災害情報をグローバルに収集する必要があり、「Chainable」からのアラート情報などをベースに海外駐在員などの安全を確保するためのツールとして活用しています。
同社の社内においても、顧客とのコミュニケーション基盤として「Chainable」は高く評価されている状況です。「今後顧客への情報提供やコミュニケーションが必要なサービスを新たに立ち上げる際には、『Chainable』というプラットフォームを軸に展開していく予定です。」と工藤氏は語ります。
「CommuRing」と円滑に疎結合を実現したことで、短期間でのサービスリリースとともに、開発コストも大きく削減できたと言います。「『CommuRing』がなければこれだけのクオリティを担保しつつ短期間でのリリースは難しかったでしょう」と工藤氏は評価します。また、顧客からは改善要望が届いており、使っているからこそのポジティブな意見が多く寄せられています。「『Chainable』という便利なサービスにさらに機能が加われば、他にも展開できるシーンが増えるのではという要望が多く寄せられています。平時から使っていただいているからこその要望だと考えています」と佐竹氏は評価します。
ユニリタについては、サービスに求められる高いセキュリティ水準に対して柔軟に対応するなど、サービス実装に大きく尽力してくれたと高く評価します。「われわれの要求に対して柔軟に対応いただけたことで、今回のプロジェクトにて高いハードルを突破した基盤が構築できたのが何よりも大きいです。これからもさまざまな形でお客様に情報発信を行っていく際には、1つの成功例としての『Chainable』がその中心となってくことでしょう」と工藤氏は高く評価します。また、手厚い支援があったことで、相談すれば誠実に課題に取り組むなど、企業としての姿勢についても高く評価している部分です。「一緒にサービスをより良いものにしていくっていう意味で、われわれが望むような関係性を築くことができました。技術的にも社内で完結しており、できるできないことをしっかり判断してもらえ、技術面でも信頼しています」と佐竹氏は評価します。
今後の展望
要望に応じて機能拡張を継続、企業間コミュニケーションへと進化を進める
今後の展望については、顧客から寄せられた改善要望の優先度合いに応じて機能を拡張していきながら、「Chainable」の認知度を高めていき、活用シーンをさらに増やしていきたいと期待を寄せています。「お客様からも、『Chainable』と連携したいサービスなどの話も出てきており、新たな価値提供の基盤としてさらに磨きをかけていきたいです」と工藤氏は語ります。また、「CommuRing」がもつ報告機能など、マイクロサービスとしての機能拡張も顧客の要望に応じて追加していきたいと言います。
「『Chainable』にて集約された情報をうまく提供していきながら、弊社が有するBCP領域含めたノウハウをうまく絡め、さらなる価値提供を続けていくことも念頭に置いています。今は災害関連の情報を軸にサービス展開していますが、お客様が抱える他の課題についても、『Chainable』を通じて解決できるような基盤へと成長させていきたいです」と佐竹氏は話します。
現状は、1対Nの関係での情報提供基盤としてサービス提供していますが、企業間にその輪を広げていきながら、自社だけでなくサプライチェーン含めた企業間のプラットフォームとしての拡張を進めていきたいと意欲的です。
顧客が抱える負の解消につながるプラットフォームへの進化へと歩みを進めていきたいと今後について語っていただきました。
東京海上ディーアール株式会社
- 設立:1996年8月
- 事業内容:企業を取り巻くさまざまなリスクに対し、各種コンサルティング事業を展開しており、一世紀以上に及ぶ東京海上のノウハウをもとに、リスクソリューションパートナーとして多くの顧客にコンサルティングサービスを提供
- ホームページ:https://www.tokio-dr.jp/